元少女時代ジェシカの小説『Shine』をKポヲタが読んでみた
前提として、まず私は少女時代が好きなK-POPヲタです。
そして、残念ながらジェシカは少女時代を去ってしまったけど、
世界を舞台に新しいキャリアを次々切り拓いているシカ様を見て、ただただ、すごいな、って思っている同世代の日本人です。ソロになってから発表した「Summer Storm」のMVがものすごく大好きだし、この間Youtubeで発表した「Let It Go」のカバーも素晴らしかった。
しかし、今回シカ様が発表した小説「Shine」は、
お世辞にも「よかった」「おもしろかった」とは言えないものでした。
このブログ読んでくださってる方におすすめできるか?といわれれば、
「No」です。残念ながら。
そもそもこの作品の対象年齢は10代前半の女の子向けで、
ソシが好きだった同世代のアラサー、また当時子どもだったけど今大人になったファン向けの作品じゃないんですよね。
でもそれを差し引いても、完成度が低いかな。
ジェシカ自身をモデルにした、韓国系アメリカ人のレイチェルが、K-POPスターになる夢をかなえるためにアメリカから韓国にやってきて、練習生としてデビューをめざす!
妹のリアのモデルはもちろんf(x)のクリスタル!
・・・ここまではめっちゃいい感じなのに!w
肝心のストーリーは、起承転結が曖昧で分かりづらいです。
そもそも、主人公レイチェルは歌・ダンスともに群を抜いている優秀な練習生。
事務所のCEOのお気に入りで、スケジュールもほかの子とは別で組んでもらっているという設定です
だから、足りないものを努力して克服するとか、
ほかの子と自分を比べて悩むとか、
自分だけの魅力を見つけて磨きあげるとか…
そういう青春ドラマ的な部分が、ないんです。
そうすると、主人公の成長が伝わってこないので、
読者が感情移入できず。応援もできず。
結果、楽しめない。って感じでした。
ただ、それとは別に、ヲタクとして興味深い点がいくつかありました!
気になったポイントを下記にまとめてみました。
おおいにネタばれありなので、未読の方は注意してください。
・アジア系として、アメリカ社会で感じた差別
主人公レイチェルがK-POPアイドルを志す動機として、
アメリカで幼いころ差別を受けて、つらかった経験の記述があります。
でもK-POPアイドルが活躍する姿を見て、韓国系であることを誇りに思えた。
そこで自分もK-POPの世界を目指すと決めた。という設定。
昨今、コロナ禍によってアジア系に対する差別が問題になっている中、このことを世界的に成功したアジア系アメリカ人であるジェシカ自身が作品に描いたことに、すごく意味があると思いました。
・韓国の食文化に対する指摘
「なんで韓国の人って何にでもソーセージ入れちゃうの?」
「それと、チーズ」
(ハニーバター味のポテトチップスを食べる場面で)
・「しょっぱいスナックを甘くしなきゃ気がすまないっていう韓国の執念」
・・・考えたこともなかったw
我々日本人もチーズ大好きだし、ソーセージ好きだし、
甘じょっぱい定番お菓子といえばハッピーターンがあるし…
韓国から来たハニーバターチップスも普通にスーパーで買えるようになったし…
おいしいからいいじゃん!て思いましたw
・ファンサービスとしての冷麺、キュウリ
ソロになってから初めての東京でのファンミ。
アンコールで「冷麺」を披露したシカ様。アイスプリンセスと呼ばれながらもファンの喜ぶステージにしたい、というサービス精神に驚いたものでした。
…そう、この小説の中にも、割と唐突に冷麺が登場しますw
また、大嫌いな食べ物としてもキュウリが登場。
これはファンならニヤリ、とできる小ネタとして、おもしろかった。
・映えるロケ地としての、日本!しかし…
物語中盤で、レイチェルとリアが日本に遊びに来ます。
ジェイソン(トップアイドル/彼氏)のプライベートジェットで!
いわゆるお忍び旅行ってやつ。
ここで出てくる日本は、原宿のカワイイモンスターカフェと、リアルマリオカート。いわゆる外国人向けの派手でキッチュな日本。ファンの目を避けて楽しく過ごす、息抜きエピソード的な感じ。
たぶん、この作品は映画化が視野に入っていたため、画的に華やかなシーンがあったほうがいい、という判断だったのではないかな、と推測しました。ストーリー的にそんなに重要じゃなくても、予告編映像の中にパッと目を引くシーンは絶対必要だし…
しかし残念ながら、コロナ禍の影響を受けてカワイイモンスターカフェは2021年1月に閉店。
リアルマリカーは運営会社が任天堂から訴えられて2020年に敗訴。
マリオとか…ピーチ姫とかキノピオとかそういう要素を無くしたストリートカートはまだ事業継続してるみたいですが。小説に登場するようなリアルマリカー体験は今、事実上できなくなってるので、これ映像化はもう無理っぽいです。
シカ様や周囲の人が知ってるからこうやって盛り込まれてるのであって…やっぱリアルマリカーって、外国では東京都心での楽しいアクティビティとして有名だったんですね。
・去っていく日本人練習生アカリちゃん
レイチェルと仲良しの練習生として登場するアカリちゃん。
しかし物語中盤から次第に影が薄くなりフェードアウトしてしまいます。
残念。でも、大手事務所の練習生の競争の厳しさを思えばこれがリアルなんでしょう。主人公よりもよっぽどリアルです。
中小事務所に移籍してデビュー、とか。サバイバルオーディション参戦とか。日本に戻ってきたっていいし…とか。その後のストーリーを勝手に脳内補完しちゃう存在でした。
・謝辞のページ
「いつの日か映画化」っていう記述があるので、出版の時点でそういう構想があったことは間違いないっぽい。コロナさえなければ、さらなる展開があったのかも。しかし映画化って失敗するとものすごい負債が発生するイメージがあるので(さだまさしさんみたいな…)やめといて賢明かもしれないとか思っちゃう。
あとクリスタルへのメッセージが短いながらも熱い。
ヲタクとしてはこれからもずっと、最強の姉妹でいてほしい、と思わずにいられません。
さいごに
エンタメ作品としておもしろい、とは言い難いものの、
K-POPヲタとしては興味深い点がいくつもある一冊でした。
また気になる点が見つかったら、追記したいと思います。
ここまで長々と…読んでいただいてありがとうございました。